中央アルプス 登山記録

【第2章】中央アルプスを越える①~戦後60年と季節の巡り~

 

第1章
【御嶽山3-1】樽前山
【第1章】御嶽山の③~火の山、信仰の山~

    山行データ51歳。2004年9月18~20日。 新宿(午前零時前)~塩尻~木曽福島へ列車。バスで覚明堂下車。 18日は7合目でテント、19日に山頂越え、一般道に出て木曽福島 ...

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山行データ

52歳。2005年6月16~19日。
新宿~木曽福島へ列車。16日はバンガロー泊、17日は無人避難小屋泊、18日は木曽駒ヶ岳をへて伊那市泊。19日は高遠まで歩き、帰京。

 

御嶽山(3,067メートル)を越えた翌年にあたる。

3,000メートル峰はこのルートにはないが、南アルプスにつなぐために、中央アルプスの最高峰・木曽駒ヶ岳(2,956メートル)を踏む。

 

 

戦後60年~2005~

戦後60年の年にあたります。

皇軍兵士として中国大陸で敗戦を迎え、戦犯追及の渦中から逃れ生還した父は、前年の11月に他界しました。

84歳、戦後60年の、この国への感慨を語ることのない別れでした。

 

よい時期もあった日中の関係は、やけにギクシャクしています。

尖閣列島の領有権やら、小泉首相の靖国神社参拝やら、今回の解散劇での安倍さんとよく似ています。

 

韓国との関係も悪いです。

 

2005年は国内の世相も尖っています。

奈良では前年、帰宅途中の小一女児が車で誘拐されて殺害・遺棄される事件が発生し(犯人逮捕)、明けて4月にはJR福知山線で通勤電車が脱線し107人が亡くなりました。

 

目先の欲望や時間の制約・効率に、人はがんじがらめになっているかのようです。

 

兄弟山

私たちの右往左往とは関係なく、季節は確実に巡回します。

4月で勤続30年を数え、会社は少し慰労休暇をくれます。

 

そこで普段は休みが取り辛い梅雨の6月に山行を計画しました。

小康に恵まれれば、人は少ない、残雪はある、とことのほか清涼感ある山の気に浸れるはずです。

 

新宿からの特急と在来線を乗り継いで、昨年一夜を明かした木曽福島の駅に降りたのは、16日午後3時ごろです。

梅雨らしい鈍色の雲が低いのですが持ちこたえています。

 

ビールを仕入れ長い坂の道を2時間ほど歩くと、森の中のキャンプ場です。

霊神碑(ウ)

途中の道そばには、御嶽山の麓で目撃したおびただしい霊神の石碑と、そっくりな石碑が並んでいました。

数は20基にもならず、無数の迫力で並ぶ御嶽山の比ではありませんが、木曽駒ヶ岳にはこんな背景があるのを知りました。

 

「天明寛政の頃(注・1781~1801)に御嶽講の信者が登山するようになって、山頂に駒ヶ岳神社が奉祀されたのである」山の憶い出』(小暮理太郎)

二つの山岳は兄弟関係なのです。

 

熊出没に注意

バンガロー、テントの利用者はいません。

夏の繁忙期を前に、関係者数人が管理棟あたりにいるきりです。

 

雨除けのひさしのあるバンガローのベランダでテントを張ろうとしていると、管理棟から男性がやってきて、「バンガローを使ってもいいですよ」と言ってくれます。

 

テント料金で一夜を過ごす幸運に恵まれました。

夜半に驟雨で目が覚めましたが、明けると回復の気配です。

 

静かな森の中を、キツツキが幹をくちばしで打ちつける連続音や、野鳥のさえずりや蝉の合唱(雑唱?)を浴びて歩きます。

立派なアスファルト道路の林道に出て少し歩くと登山口です。

そこは展望台と小公園になっていて、何やらゴルフ場らしき広い斜面(?)を見下ろせます。

 

登山口側には
「熊出没注意」

と、でかでかと書かれた看板が注意しています。

熊看板(ウ)

 

「山にお邪魔する」

前年秋は全国で熊がやたらに人里に出没して大騒ぎになったものですが、熊との摩擦が繰り返されています。

 

日光国立公園の尾瀬ヶ原は散策と登山のどちらも楽しめる自然ですが、6年前の6月6日、木道を歩いていた夫婦が、突進してきた熊にかまれたり、ひっかかれたりして重傷を負いました。

 

当日は約7千人のハイカーが尾瀬ヶ原には入っていたそうです。

前日には、岩手県、長野県で、山菜とりの3人が熊と遭遇し、けがをしています。

 

深い山に入るのですから、熊と遭遇する可能性はだれにでもあるのですが、私についていえば今までありません。

 

今回も一人ですし、護身用ナイフを欠かしません。

 

今日も今のところ大丈夫です。

とはいえ冬眠から明けて雪が残るこの季節、とくに母子熊には細心の注意が必要です。

子熊を見つけて、かわいいからといって抱っこするなんぞは自殺行為です。

 

近くには必ず母熊がいて、わが子への危害を感じ「子を守る」(私たちは「襲われる」といいます)行動に出ること、必死・必至だからです。

 

山では野生生物が主人公、私はお邪魔する立場、それを肝に銘じて周囲を広く見渡して注意を払い歩きます。

 

続きの記事
木曽駒山頂
【第2章】中央アルプスを越える②~古道の物語り~

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ゴン

1952年生まれ。 18歳で高校を卒業後、他県生活を30年余。 北海道、北陸、東京など、転勤に伴い転々とする。 退職後は2013年から自宅で小さな英語塾を開設。夫婦で小中高生や社会人と接する一方、夏秋になると北アルプス、南アルプスの山歩きをしている。 中学、大学でプレーした卓球を退職数年前に約35年ぶりに再開。地元高校のコーチは5年目(2020年4月現在)

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