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【登山余話27】ふと、栗沢山~甲斐駒・仙丈・北岳の大展望と学生縦走(2025年8月18~20日)
山行データ18日データ:北沢峠テント泊。 19日データ:栗沢山~アサヨ峰往復~仙水峠~テント場。 20日:下山。 崩壊していない長野側から北沢峠 南アルプススーパー林道の山梨県側は、何年 ...
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山行データ
広河内岳から笹山
まだ行っていない山を歩いてみたい、あるいは再訪してみたいと思う山というのがある。
そうして想像の山行は多いが、いい年齢になるにつれて時間はあるけれど、体力・気力との折り合いが一番の課題である。
テントを担いでソロという若い時からの流儀を通すとなれば、なおさらである。
南アルプスでいえば、登山者が集中する白根三山(北岳・間ノ岳・農鳥岳)なら山小屋が充実しているが、脇にそれると避難施設どころか、水場さえないことがしばしばある。
広河内岳から南に延びる、通称白根南嶺と呼ぶ山域が、その後者にあたる。
しかし、登山者の関心の薄い、そうしたゾーンは、何かしら魅惑を潜めていて、引き寄せる力、並々ならぬものがある。
おいで、おいでと招くようにして。


(塩見岳を右に、中央に蝙蝠岳)
4年前に広河内岳の山頂からの展望がそれにあてはまる。
森林限界を超える岩とハイマツの頂からは、大井川を挟む右手に3千メートル峰の塩見岳から赤石岳へと波打つ巨魁を望見し、足下の左手には南嶺の長々としたなだらかな尾根がはるかに延びる。
両者はあまりに対照的で、未経験の南嶺の何とのびやかで広々として穏やかなことか。
この尾根を心行くまで歩きたい。
重い水をどうする
目指すのは広河内岳から笹山。
平面地図上の距離は5キロくらいか。
予定は3日間。
テントを張ったあと、山なみを眺めながら飲むビールやウィスキー・ハイボールがやめられないので、どうしたってリュックは重くなる。
20年前の体力なら2日のコースか。
まず、奈良田から笹山へ尾根を一気に登りきりテント泊、そこから広河内岳へと北上して二泊目、三日目に大門沢へるのが第一案だったが、二日目までの水場があてにできない。
つまり二日半分の水(5リットル超か)をはじめから背負うことは、さすがに過酷だと自省し奈良田に向かう車中でやめてしまった。


(大門沢沿いの登山道を下る登山者)
水問題をクリアするのに、日を改めて大門沢側から入ることにした。これなら、大門沢沿いのかなり上部でも水が汲める。
初日・大門沢小屋(テント)、二日目・尾根の適地(テント)、三日目・笹山を経て奈良田へ下る。
健脚と鈍脚
初日はぐうたらを決め込み、ビール、ウィスキー、天ぷらを添えたソーメンの飲食で体力を蓄え、二日目は途中で沢水を4リットルほど補充した。命の水だ。


(初日の飲み食い)
二日目のリュックにはまだ缶ビール2本、ウィスキーが残してある。
重いのはわかっちゃいるがやめられない。
それに食料やテント一式の荷物やらで、リュックの紐が肩を圧する。
口から心臓が飛び出しそう、というが、あながち誇張ではないと思う。
下降点の尾根道までの登りでは、白根三山からの下山者が引きもきらず、軽そうな足取りが恨めしくなるほどだった。
広河内岳まで7時間ほどかかった。


(大門沢へは黄色い塔が目印。奥は農鳥岳方面)
広河内岳の近くで交差した若い男性に聞くと、奈良田から笹山を登り、下降点から奈良田まで一日の行程という。
わたしの当初案を一日で済ませてしまう。
白根南嶺サーキット
いやいや、数時間前の登りで追い抜かれた20歳代かと見える女性は、この逆コースを、つまり、わたしが二泊三日を予定した今回のコースを一日におさめてしまう。
リュックが小さく軽そうで、足取りの軽快なことは、若いとはこういうことなのだと感嘆するばかりだ。


(沢水を汲む。命綱の水)
こういう軽装、軽量、一日完結で通常数日かかる縦走をすますのをサーキットと呼ぶらしい。
白根三山を一日で完結するなら、「白根サーキット」となるのかな。
時短登山というべきか。
確かにこのスタイルはここ数年よく出会う。
最近の中央アルプスの夏山で軽装、軽リュックの登山者に声をかけると、しばしばサーキット系である。
それ相応の充足、手応えがあるのだろう。
ただ、その悪例が、心身疲労が著しく深刻な結果を招く富士山の弾丸登山であろう。
身の程を知れ
サーキット系は、72歳の領域ではない。
若いころは、などと我を張ったところで何の支えにもならない。
見栄を張って得るものはない。
自尊心にすがれば無鉄砲の始まりだ。
二泊三日の今回のテント旅なら体力・気力の許容する範囲であろう。
4年ぶりの広河内岳の山頂は、やはり静謐に包まれている。
岬の灯台になったような気になる。
目立たないが、二軒小屋から尾根を辿って二日目に山頂に立った蝙蝠岳(2,865m)の尾根が、旧友との再会のように懐かしい。
蝙蝠岳は20数年前のことで、体力に相当の自信があったときの単独テント旅だったが、再訪は無理だろう。


(南嶺の稜線に白雲が絡む)
今から踏み込む白峰南嶺にも、背後にも人っ子一人いない。
大門沢下降点でわたしより30分ほど前にこちらへ向けて出た北岳発という男性高齢者がいたが、足達者にはるか先をいっているようだ。
眼下に見通しのいい尾根の遠くまでに目を凝らすが、人の動きはない。
今から、文字通りのソロを深く意識する。
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【登山余話28】南アルプス白根南嶺~㊦清澄な大展望~
山行データ2025年8月29日~31日。大門沢沿いに白根南嶺の尾根に突き上げ南下、広河内岳(2895m)から尾根道。笹山(黒河内岳・2728m)を経て奈良田に下山。72歳。単独、テント。 ...
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