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【登山余話21】中央アルプス・空木岳へテント旅㊦

 

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【登山余話20】中央アルプス・空木岳へテント旅㊤

  山行データ2022年9月3~5日。69歳。名古屋をクルマで出て、ロープウェイで千畳敷(2600m)から入山。桧尾岳(2728m)の新設テント場、空木岳(2864m)を踏んで空木岳避難小屋 ...

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山行データ

2022年9月3~5日。69歳。名古屋をクルマで出て、ロープウェイで千畳敷(2600m)から入山。桧尾岳(2728m)の新設テント場(初日)、空木岳(2864m)を踏んで空木岳避難小屋(2日目)。3日目は池山尾根から駒ヶ根スキー場へ下山。単独。69歳。

 

夜明け限りの絶景

隣のテントの同年配は暗い4時過ぎには去ったよう。

今日のうち池山尾根を下りきるためのです。

 

(オレも今日のうちに下ってしまおうか・・・)

 

と刺激されます。

 

明るみにテントの外に出た人たちがざわざわしています。

すると、大きな歓声。


(赤い朝雲の下に仙丈ヶ岳などを遠望)

 

つられて外に出て赤い東を見ると、何と南アルプス仙丈ヶ岳北岳が大きなシルエットに黒く刻まれています。

 

北には尾根の向こうに宝剣岳の先端、南に振り向けば間違いなく空木岳が全身をあらわに見せています。

 

「昨日の雨の天気は、いったい何だったんだ?」

 

弾むやりとりが交わされ、見知らぬ同士が南アを背景に写真を取り合っています。


(テント場から空木岳。すぐに雲が隠してしまう)

 

わたしはテントの外に半身を出して、南アの絶景をご馳走にアツアツの辛味ラーメンをむせかえりながら頬張ります。

 

これぞ、充実・至福のひとときです。

 

表銀座よりも手強い?空木岳への縦走路

しかし、アッという間に谷間から白いガスが湧き上がり、また視界が狭くなりました。

 

見回せば、わたしが最後のキャンパーです。

 

小屋泊まりの人たちもテント場を横切り、わたしを尻目に桧尾岳への急坂をのぼっていきます。

 


(テント場は早発ちで、わたしが最後。奥は空木岳)

 

桧尾岳に戻ると、空木岳へ続く尾根は上下に波打ちます。

 

 

急がず、慌てず、のんびり。

 

 

若い人も中高年カップルにも抜かれまくります。

 

雲の合間にときどき見える富士山御嶽山におだてられて歩くにつれ、昨日以来の既視感がわきます。

 

昨年夏に三度目を歩いた、北アルプス燕岳から大天上岳への縦走路(通称表銀座)に印象が重なるのです。

 

花崗岩が風化した尾根、白い巨岩が次々に奇景を見せるのです。

 

表銀座では大天上岳を目前に大下りし、その分を登り返すのに苦しみましたが、それも差し引いても足下の空木岳ルートの方が厳しい。

 

中アに漠然と持っていた(北アよりも与しやすい)という印象を修正します。

 

今のわたしには、2泊3日のテント縦走には手強い。

 

東川岳山頂で休んでいるときに、

 

「一つめ!あと四つだぁ!」

 

大声の男性(40歳代)が木曽殿山荘側から急坂を登ってきました。

 

似て非なる空木岳と燕岳

東川岳熊沢岳の間には際立ったピークが5つある。

その一つめに到達したというわけです。

 

両手にスティック、荷物は小さい。

 

桧尾岳から尾根を下り登山口(バス路線沿い)へ。

自転車をそこに用意してあるそう。


(空木岳への登りはきつい・・・)

 

木曽殿山荘から空木岳への急坂を登り返しているとき、短パンで下ってくる男性(40歳代)が声をかけてきます。

 

越百岳南駒ヶ岳からの途中(わたしのルート外)、ハイマツの中にいるクマと100メートルの至近距離で目が合ったので(クマが逃げてくれた)、注意してくれたのです。

 

男性の両すねの数カ所に出血痕があります。

「周回しています」

 

麓の伊奈川ダム付近の登山口にクルマを置いて、越百岳~南駒ヶ岳~空木岳を経て一日で下りきるのです。

 

この2人のような「一日長距離速攻」は、昨年の南アルプス・白根三山でも数人と出会っています。

一種の流行なのでしょう。

 

空木岳が遠い、と感じます。

 

けっこう体力を消耗し、険しい。

 

岩に打ち込んだ鉄棒やロープなども要所にあります。

 

一服して右手に見る巨岩に「ガメラ岩」と名をつけて気晴らしをします。


(あれが空木岳山頂?・・・いや、まだ先)

 

燕岳山頂付近は散歩道の風情ですが、ここは緊張の連続です。

 

狭い岩と岩との間を乗り越えて、ようやく平たくて白砂の山頂にたどり着きくのでした。

 

さっき岩にぶつけた頭頂部がまだひりひりしています。

今日のうちに池山尾根を下りきるのは無謀だと悟り、空木岳避難小屋に宿泊。

 

ビジュアル登山、日帰り登山

61歳の静岡県沼津の男性と、北ア黒部五郎岳のことなど話していると、戸口がスウッとあいて若い女性が入ってきました。

 

長髪はピンク系、衣類もリュックもカラフル、色白。

昨日のテン場で幽霊話があったので一瞬、ドキリ。

 

しかし、人の声の挨拶があり、男性(20歳代)と見当がつきました。

 

ビジュアル系?

翌朝はまだ暗いうちに、あかりを鏡にあてて、丹念に化粧をしていました。

眉を整え、まつげをそらせ。

 

わたしは寝袋の中で、遠目からその手際を感心して見やっています。


(ナナカマドが赤く色づき空木岳がくっきり=早朝の避難小屋から)

 

夜明け前に前後して2人が出発。

ともに空木岳から越百岳まで往復し、駒ヶ根に下山予定です。

 

さて、快晴の中を一人で延々と下っていると、次々と登山者と出会います。

 

見たところ20歳代から70歳代まで老若男女。

聞けば(10人以上)ことごとく空木岳へ日帰り。

 

「高校生ですか」
「とんでもない、32歳ですよ」

 

飛ぶが如くの男子もいました。

最初に出会った若い女性など、わたしがクルマに到達する1時間前に抜き去っていきました。


(日帰りで空木岳を目指す)

 

空木岳は日帰りの山でもあるようです。

69歳のわたしでも、日帰りはできるかしら。

 

(この項終わり)

 

 

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ゴン

1952年生まれの69歳。 18歳で高校を卒業後、他県生活を30年余。 北海道、北陸、東京など、転勤に伴い転々とする。 退職後は2013年から自宅で小さな英語塾を開設。夫婦で小中高生や社会人と接する一方、夏秋になると北アルプス、南アルプスの山歩きをしている。 中学、大学でプレーした卓球を退職数年前に約35年ぶりに再開。地元高校のコーチは7年目(2022年4月現在)

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